仔馬の日記

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いただきもの

 青森大学時代にお世話になった先生から報告書をいただきました。

 

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 ひとつめはこちら。

 青森大学 社会学部 佐々木研究室 編「青森地域ねぶたの現在とその可能性」

 青森学術文化振興財団の助成を受けて、2013年よりおこなわれてきた調査の2015年度版の報告書が本書。

 

 この報告書は、第Ⅰ部から第Ⅲ部の3部で構成。

 第Ⅰ部の「地域ねぶたを聴く」は、青森ねぶたのなかでも「地域ねぶた」とその担い手を対象におこなった聞き取り調査をもとに書かれたもので、さらに地域ねぶたの現在とその可能性をさぐることを目的とした佐々木先生の論考と、地域ねぶたを運行する4組織を対象とした聞き取り資料からなる。

 

 第Ⅱ部は、2015年10月16日におこなわれたシンポジウム「青森ねぶた祭りの問題と将来2015~地域ねぶたの現在~」において報告された佐々木先生のレジメと学生による4報告のPP。

 

 第Ⅲ部は、2016年2月23日におこなわた青森大学社会学部主催の「ワークショップ・教員報告会~地域と家族を考える~」において報告された6報告のレジメ。

 

 「青森ねぶた」というと、8月の第1週におこなわれる「青森ねぶた祭り」=「大型ねぶた」が思い浮かぶ人が多いかと思いますが、この報告書が取り上げた「地域ねぶた」とはなにか?

 

「地域ねぶた」とは、毎年7月~8月にかけて各地域で運行するものである。いわば地元の町会の子どもたちのために行うお祭といったものである(p2)

 

 佐々木先生は、青森ねぶたのなかでも「地域ねぶた」に注目することで、ねぶたが日常文化にねざした、「民俗としての祭り」であることにより気づかされたという。そして、地域ねぶたが「子どもの経験」「地域文化継承」「地域の人のつながり」のそれぞれにとって必要な行事としての機能を有していることを指摘している。

 

 巻頭言で佐々木先生が記しているように、調査開始から3年が経過し、ねぶたにかんする語りが蓄積されつつあるとのこと。今後のさらなる調査、そして「青森ねぶた文化圏」の生成・展開・機能、そこでおこなわれるひとびとの生活にかんする論考を楽しみにたいと思います。

 

 ちなみに、報告書全体のテーマとはおおきく異なりますが、わたしが2月に青森大学社会学部主催の研究会において報告させていただいた「東日本大震災消防団岩手県宮古市消防団の震災体験とその語りに注目して」(p91-98)の報告レジメを掲載していただきました。震災体験を語るなかでの「地域」というキーワードについての議論は詰め切れていない部分もありますが、わたし自身の今後の研究の足がかりになればと考えています。

 

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 そして、いただきもののふたつめがこちら。

木原博/佐々木てる 編「青森大学社会学部 2015年度 社会調査実習 調査報告書 青森県の多文化共生を考える~八戸市外国籍者の事例を中心に~」

 

 今回、佐々木研究室がおこなった社会調査は、青森県の多文化共生、とくに人口減少社会における外国籍住民の役割がテーマである。佐々木先生の指導する学生が3つのグループに分かれ、外国人技能実習制度を実施する企業と実習生本人、ネパール人の経営するカレー店、青森県八戸市近郊に在住するフィリピン人のそれぞれを対象に聞き取り調査をおこなっている。

 

 (日本に在住しているとはいえ)日本語が母国語でない話し手に聞き取り調査は、調査に参加した学生にとって、数多くの苦労があったと思います。(地元でおなじ日本語を使って聞き取りをしてもかなり大変なのに、、、)

 

 上記のような調査をもとに描き出された、異国のさまざまな制度のあいだで、ときに翻弄させられながら生活をおくる外国籍者の日常的な営みやそこでの苦労や葛藤と、その実態をうけた学生からの提言はどれも興味深いものでした。

 

 

 まだざっと目をとおした程度ですので、ゆっくりと読みたいと思います。佐々木先生ありがとうございました。